消化管アレルギーは、嘔吐や下痢、血便など消化管症状を主症状とする比較的まれなアレルギー疾患です。よく知られている即時型食物アレルギーと比べて、IgE抗体が陰性であること、呼吸器症状や皮膚症状がみられないことなどの違いがあります。国際的には、FPIES(food protein-induced enterocolitis syndrome)と呼ばれています。
 新生児から成人まで発症しますが、年齢により病型や原因食品が異なります。最も早く発症する「新生児・乳児消化管アレルギー」は、生直後から乳児期に発症します。血便を伴う頻度が高く、ほとんどが牛乳を原料とするミルクが原因という特徴があります。わが国では、最近、「新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症」と呼ばれることもあります。生理的に未熟な新生児では、正常児でも時に消化管症状を呈するため、この疾患を念頭に置いていないと診断が遅れることがあります。一般的に、消化管アレルギーの診断にはIgE抗体検査は参考になりませんが、この病型には細胞性免疫検査法であるアレルゲン特異的リンパ球刺激試験(ALST)が役立ちます。
 離乳食開始以降は主に固形食品が原因となります。症状は、ほぼ嘔吐のみとなり、血便はみられません。穀物、鶏卵、魚貝類などが原因となりますが、興味深いことに、代表的な原因食品は国ごとに違います。わが国では、従来、貝アレルギーが知られていましたが、最近、鶏卵が原因の患者の報告が増えています。鶏卵は、即時型食物アレルギーにおいても代表的な原因食品ですが、主に卵白が原因となります。これにたいし、消化管アレルギーでは卵黄の方が原因となります。IgE抗体は陰性で参考にならないため、症状および病歴と経口食物負荷試験により診断します。ALSTは、卵白を除き、まだこれらの固形食品の検査はできません。
 消化管アレルギーについての情報は、最近、増えてきていますが、まだ十分ではありません。本サイトでは、消化管アレルギーについての最新の情報を、以下の目次に従い、広くわかりやすく解説しています。

 

 
 目次
1)新生児・乳児消化管アレルギー
2)アレルゲン特異的リンパ球刺激試験(ALST)
  a) ALSTの概要
  b) ALSTの測定方法
  c) ALSTによる消化管アレルギーの診断
3)消化管アレルギーと即時型食物アレルギーの違い
4)固形食品による消化管アレルギー
5)卵黄による消化管アレルギー
6)鶏卵による消化管症状
7)母乳栄養児の消化管アレルギー
8)未熟児の消化管アレルギー
9)成人の消化管アレルギー
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